底辺FIREは数百万円程度で会社員生活をせずに自由に過ごす生き方です。
このような生き方は批判に晒されることもよくありますが、実際はどういった特徴があって収入や生活はどうなっているのでしょうか?
具体的な人物と合わせて、底辺セミリタイアや低予算FIREとの違いと一緒に見ていきましょう。
どういった生活をしているのか、またどのような収入源を確保しているのか哲学にも迫った著書です。
底辺FIREとは?その概要と実践方法
「底辺FIRE」は、通常のFIRE(Financial Independence, Retire Early)を少ない資産で実現しようとする考え方です。
底辺FIREとは、極力資産を少なくして経済的な自立を目指すライフスタイルです。一般的なFIREでは数千万円以上の資産を構築してリタイアを目指すのに対し、底辺FIREでは数百万円の資産を元手に、シンプルかつ低コストな生活をしながら働き方を選ぶ自由を目指します。
多額の資産を必要とする一般的なFIREとは異なり、底辺FIREは少額の資産でセミリタイアを目指すため、よりシンプルで節約志向の強いライフスタイルが求められます。
底辺FIREの特徴
底辺FIREの大きな特徴は、徹底した節約生活と少ない資産を活用した運用です。
- 生活費を極限まで抑える工夫
食費を月1万円程度に抑えたり、空き家のセルフリフォームで住居費をゼロにするなど、生活費を極限まで下げる取り組みを行います。 - 少ない資産を効率的に運用
米国株インデックスファンドなどの低コスト運用や、つみたてNISAを活用するなど、わずかな資産を活かして収益を最大化する方法を用います。
底辺FIREの具体的な生活スタイル
底辺FIREの生活スタイルは、質素であることが特徴です。
限られた資産と収入で暮らすため、支出を最小限に抑え、シンプルで計画的な消費を心がけます。
- 食費の工夫
毎月の食費を1万円程度に抑えることが目標となります。特売の利用や食材のまとめ買い、無駄をなくす計画的な食事の準備が求められます。 - 住居費の削減
空き家をリフォームして低コストで生活する、あるいは地方移住で家賃を抑えるなど、住居費を可能な限り低く抑えることが重要です。
収入源について
完全なリタイアが難しい底辺FIREでは、 スポットワークやブログなどの収入確保も重視されます。
- YouTubeやブログによる広告収入
YouTubeチャンネルやブログを運営し、広告収入を得るケースが一般的です。自宅でできる副業として人気があり、少額ながらも継続的に収入を得ることができます。 - パートタイムや単発の仕事
無理のない範囲でパートタイムの仕事を続けたり、単発のフリーランス案件をこなしたりして、生活費を補う方法がとられます。
これにより、少額ながら継続的な収入を得ながら生活を続けることが可能です。
よくある批判と問題点
底辺FIREには、以下のような批判や課題が指摘されています。
- 経済的自立の定義に合わない
部分的な労働収入が必要なため、「リタイア」とは言えないという批判があります。完全な経済的自立を達成できていない点が問題視されることもあります。 - 長期的な持続可能性への疑問
少ない資産での生活は、医療費や生活コストの上昇に対応しにくいリスクがあり、経済的自立の持続可能性に不安が残ります。 - 心理的な負担
生活費を抑える制約の多い生活が長期化すると、自由度が低くなるため、心理的なストレスが蓄積する可能性もあります。
底辺FIREの具体的な人々
ここでは、底辺FIREに関連のある方々をご紹介します。
定義に厳密には当てはまらない方もいますが、それぞれが独自のスタイルでセミリタイアを実現しているため、参考になります。
- ゆうすけさん(底辺FIRE):資産約400万円でセミリタイア
- ひこすけさん(サイドFIRE):資産約900万円でセミリタイア
- 人生よよよさん(セミリタイア):資産約3000万円でセミリタイア
ゆうすけさんの事例:資産400万円で底辺FIREを達成
ゆうすけさんは、2020年に27歳でFIREを達成し、資産400万円という少額でセミリタイア生活を始めました。自動車メーカーに勤めていた彼は、住居費や食費を極限まで抑えた生活スタイルで「底辺FIRE」を自称しています。
住居は実家の離れをセルフリフォームし、家賃をゼロにしています。食事はすべて自炊で月1万円以内に収め、月の生活費を2万円に抑えています。日中はゲームや読書、筋トレを楽しむことで、充実した時間を過ごしているとのことです。
また、限られた資産を活用するため、米国株ETFや仮想通貨にも投資し、資産は700万円まで増加。米国株で得られる配当収入と、Uber Eatsの配達で月5万円程度の収入を確保しながら、ブログやYouTubeも収入源として活用しています。
彼の目標は「働かずに好きなことだけをして生きること」で、バイク旅や海外旅行も楽しみ、底辺FIREの前例を作ることに意気込んでいます。
ひこすけさんの事例:サイドFIRE戦略で資産900万円からセミリタイア
ひこすけさんは28歳で900万円の資産をもって退職し、一般的なFIREの基準である「年収の25倍の資産」には達していません。しかし、完全にリタイアするのではなく、必要に応じて働きながら生活費を補う「サイドFIRE」戦略をとっています。
「25倍貯めずに退職してもいいですか?」という本も出版し、セミリタイアを現実的で柔軟に実現する方法として若い世代にも注目されています。ひこすけさんのアプローチは「自由な時間と適度な労働のバランスを重視」するもので、必要な時に収入を確保できる点が特徴です。
人生よよよさんの事例:資産3000万円で自由なセミリタイア生活
ブロガーとして活躍する人生よよよさんは、資産3000万円でセミリタイアし、自由な時間を謳歌しています。彼の生活スタイルはシンプルで、ブログの執筆やアフィリエイト、運動、アニメ鑑賞、ゲームなどが日課です。
2018年時点での資産は、投資信託2,104万円、現金784万円、確定拠出年金74万円で、資産を減らさないように生活費を徹底的に管理しています。ブログ「人生よよよ」では、セミリタイア生活や労働に対する批判的な視点を発信しており、「働かずに生きる」ライフスタイルに共感する読者も多くいます。
よよよさんは、自分のライフスタイルを通じて「働くよりも自由を楽しむ」価値観を強調しており、ゲームやシンプルな生活を重視しています。また、健康管理に配慮し、運動や早寝早起きも欠かさない点が特徴です。
底辺FIRE、底辺セミリタイア、低資産セミリタイア、低資産FIREの違い
底辺FIRE、底辺セミリタイア、低資産セミリタイア、低資産FIREは、従来の高資産を前提としたFIREやセミリタイアの概念を、より少ない資産で実践しようとするアプローチです。それぞれの違いを以下にまとめます。
- 底辺FIRE:最小限の資産で完全な経済的自立を目指す
- 底辺セミリタイア:資産と少額の労働収入を組み合わせて部分的にリタイア
- 低資産セミリタイア:少額の資産で安定性と自由を両立する部分的リタイア
- 低資産FIRE:従来より少ない資産で完全リタイアを目指す
底辺FIRE
底辺FIREは、300万円〜1,000万円程度の限られた資産で完全なFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指すアプローチです。極端な節約生活が前提で、最低限の資産でも経済的自立を図ります。
具体例としては、27歳で400万円の資産を元にFIREを達成したゆうすけさんが挙げられます。家賃を節約し、生活費を極限まで抑えた生活スタイルを維持しながら完全にリタイアした生活を送っています。
底辺セミリタイア
底辺セミリタイアは、200万円〜800万円程度の少額資産と、少額の労働収入を組み合わせて生活するアプローチです。FIREほどの厳格さはなく、最低限の労働を続けながらも自由な時間を確保し、経済的なリスクを抑えつつ生活しています。
生活水準は低めですが、ゆとりのある生活ができるのも特徴です。自由時間を重視しつつ、必要な収入を労働から得てリスクを抑える方法です。
低資産セミリタイア
低資産セミリタイアは、800万円〜2,000万円程度の「底辺」よりも多いが、従来のセミリタイアに比べて少ない資産で実現を目指す方法です。ある程度の生活の質を維持しながら、資産と労働収入を組み合わせて自由を享受する、安定感を重視したセミリタイアの形です。
従来のリタイアに比べて自由時間を得つつも、生活の安定を目指すため、完全リタイアよりもリスクを抑える方法が取り入れられます。
低資産FIRE
低資産FIREは、1,000万円〜3,000万円程度の資産で完全なFIREを目指すスタイルです。完全な労働からの離脱を目標にしていますが、資産額が少ないため、一般的なFIREに比べてリスクが高くなります。
多くの場合、副業や投資を行いながら資産を増やす手法も取り入れられ、ある程度の自由を目指しつつも計画的な資産運用が必要です。
これらのアプローチは、個人の価値観や状況に応じて選択され、従来のFIREやセミリタイアを、より幅広い層に適用可能にする試みです。少ない資産でのリタイアを実現するためには、慎重な計画と柔軟な実行が求められます。
いくら貯めればFIREできるか?底辺FIREあるいは低予算でセミリタイアするには?
FIREや低予算でのセミリタイアに必要な資産額は、個人の生活スタイルや目標によって異なります。ここでは一般的な目安と、底辺FIRE・低予算セミリタイアのためのアプローチについて解説します。
- 従来のFIRE:年間支出の25倍の資産が目安
- 底辺FIRE:300万円〜1,000万円程度での完全リタイアを目指す
- 低資産セミリタイア:500万円〜2,000万円程度での部分リタイア
- サイドFIRE:1,000万円〜3,000万円程度で労働収入を組み合わせて生活
従来のFIRE:年間支出の25倍が目安
従来のFIRE(Financial Independence, Retire Early)では、「年間支出の25倍」を目安に資産を蓄えるのが一般的です。このルールは「4%ルール」に基づいており、毎年資産の4%を取り崩しても、資産が尽きにくいとされています。
例:年間の支出が300万円の場合、7,500万円の資産が必要とされます。多くの人にとって大きな金額ですが、この基準を目標にすることで、完全リタイアが可能になります。
低予算アプローチ
従来のFIREを目指すのが難しい場合、少額の資産でリタイアを目指す「低予算アプローチ」も考えられます。底辺FIRE、低資産セミリタイア、サイドFIREなどの方法があり、それぞれ異なる資産額と生活スタイルが特徴です。
底辺FIRE
底辺FIREは、300万円〜1,000万円程度の最小限の資産でリタイアを目指す方法です。生活費を極端に抑え、節約を重視しながら完全なリタイアを達成します。
例:ゆうすけさんは27歳で約400万円の資産を元にFIREを実現し、食費や家賃などを極限まで削減した生活スタイルを送っています。
低資産セミリタイア
低資産セミリタイアは、500万円〜2,000万円程度の資産と、少額の労働収入を組み合わせる部分リタイアの方法です。生活費の一部を労働収入でまかない、自由な時間を増やしながらも生活の安定を目指します。
サイドFIRE
サイドFIREは、1,000万円〜3,000万円程度の資産で、パートタイムや副業などからの収入を併用しながらリタイアを目指す方法です。例えば、ひこすけさんは900万円の資産を元に、労働収入と組み合わせて生活をしています。
低予算でのセミリタイアを成功させるための考え方
低予算でセミリタイアを目指す場合、生活費を抑え、労働収入や資産運用を組み合わせることが重要です。以下に具体的な方法を解説します。
- 生活費を最小限に抑える
月の生活費を10万円以下に抑えることで、少ない資産でも維持可能な生活が実現できます。家賃や食費の節約を徹底し、不要な支出を避ける工夫が求められます。 - 資産運用と少額の労働収入を組み合わせる
例えば、2,000万円の資産を年利4%で運用すると年間80万円の収入が得られます。残りの生活費を月18.3万円の労働収入でまかなうなど、柔軟に収入源を組み合わせることで、安定した生活が可能になります。 - 柔軟な働き方を取り入れる
フリーランスや季節労働といった柔軟な働き方を取り入れることで、無理なく生活費を稼ぐことができます。自由時間を重視しつつ必要な収入を確保するためには、働き方の選択肢を広げることも大切です。
これらの低予算アプローチは、従来のFIREよりもリスクが高いため、慎重な計画と適切な資産運用が求められます。個人の生活スタイルに合った戦略を選択することが、低予算でのセミリタイア成功の鍵となります。
まとめ
今回は、底辺FIREについてご紹介しました。
低予算で自由な生き方をしていることに間違いありませんが、いろいろな特徴があって面白いですね。
また、同じような言い方でも微妙な生活スタイルの差があることに注目です。ぜひとも参考にしていただければ幸いです。