文系の卒論の書き方を慶應卒が解説!はじめにから結論まで

大学生のみなさんは、就職活動も大変ですが、本来の身分である学業にも力をいれないといけませんよね。

その中でも卒業論文はかなり大変で、就活と重なると卒業が危なくなります。なんとかして、卒業論文を書き上げたいところです。

そこで今回は卒業論文をなんとか完成させたいという人のために文系の卒業論文の書き方についてご紹介します。



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文系の卒論を書き始める前に理解したいこと

レポートと論文の違い

レポートと論文の違いは以下の通りです。

  • レポート
    調べたことをまとめたもの
  • 卒業論文
    調べたことをまとめた上で、誰も言っていないことや発見を書いたもの

まずは大前提として卒業論文がどういったものなのかおさらいしましょう。

卒業論文は新しい発見を書いたもの

卒業論文とは、いわゆる4年間の総まとめで、今まで勉強してきたことをまとめるようなものです。

大学から入学して1、2年生の時に一般教養や基礎科目を受けて、3年生あたりから専門科目やゼミに入ることになりますよね。だんだん、自分の学科の専門分野の色合いが強くなるものですが、その専門分野の中でも極限まで専門性を高めた物が卒業論文です。

レポートは調べたもののまとめ

ただし、注意したいのは総まとめと言っても、レポートを書いてはいけません。レポートは知った事をかき集めたものです。

たとえば、車について書けと言われたら、ググって知ったことをまとめればレポートは完成です。

卒業論文は自分が調査を通じて知った事をまとめた上で、みんながわかっていない事や足りないものを見つけて、自分なりの新しい発見を提言するものです。

テーマが超大事!ここで評価が決まる

なぜ教授が「テーマを早く決めろ」と言うのでしょうか?それは、テーマが卒業論文で非常に重要だからです。

具体例を挙げて説明します。

  1. 国際関係
    テーマが広すぎる
  2. 外交
    まだ広すぎる
  3. 1964年の日中外交
    ピンポイントで誰も知らない(新規性あり)

例として「政治」というテーマでは広すぎます。「外交」に絞ったとしても、日米外交や日欧外交など範囲が広いです。

そこで「1964年の日中外交」とすると、非常に限定的で、専門的な論文を書きやすくなります。

「新しさ」を意識すること

誰も議論していないの内容は新規性が高く、あとは書き上げるだけで独自性のある論文になります。

つまり、誰も言及していない、具体的でピンポイントなテーマを見つけることが成功のカギです。

文系の卒論の構成はテンプレートを使用すればOK

卒論は以下の構成で書きましょう。

これが卒論の構成です。

卒業論文の構成

  1. 概要(Abstract)
  2. 問題の所在(はじめに)
  3. 問題提起
  4. 先行研究
  5. 分析
  6. 考察
  7. まとめ
  8. 参考文献

一般的には、これらの章立てて構成されていますが、内容によっては変わります。最初に何を問題としているのか設定した上で先行研究を読み解き、自らの調査を書くと言った流れです。

この体裁さえ守れていればほとんどの場合卒業可能です。

それでは、重要な部分について解説します。

概要

概要では、研究の全体像を簡潔にまとめます。研究の目的、方法、主な結果、そして結論をここに書きましょう。

概要は、研究内容を手短に理解したいと思う人々に向けて、研究のエッセンスを伝えるものです。この研究で何が分かったか要約してまとめるのではなく、何が書いてあるかをまとめて書きます。

  • 明瞭性: 簡潔に、しかし研究の重要な点を全て含めるようにします。
  • 情報の構成: 目的、方法、結果、結論の順に情報を整理します。
  • 自立性: 概要だけで研究の全体像が理解できるようにします。

問題の所在(はじめに)

「はじめに」のセクションでは、研究の目的、動機、背景を明確に提示します。この研究がなぜ重要であり、何を解決しようとしているのかを理解させることが重要です。以下のポイントを意識しましょう。

  • 研究の背景: 研究を行う背景や研究対象の重要性を説明します。
  • 研究の目的: 研究で何を明らかにしようとしているのか、具体的な目標を示します。
  • 研究の範囲: 研究の範囲を明確にし、何に焦点を当てるのかを説明します。
  • 動機: なぜこの研究を行うのか、個人的または学術的な動機を共有します。

先行研究

先行研究レビューは、あなたの研究が基づく学術的背景とフレームワークを明確にするセクションです。研究テーマに直結する既存の文献や研究成果を批判的に検討し、自分の研究がこれらにどのように基づいて展開されるのか、または既存の研究をどのように拡張、深化させるかを明らかにすることが求められます。主要なポイントを以下にまとめます。

選択と焦点

  • 関連性の高い文献の選択: 研究テーマに直接関連し、重要性が高い文献に焦点を当てます。
  • 研究テーマとの直結: 選択した文献が研究テーマにどのように結びつくかを明確にします。

批判的評価

  • 文献の意義と限界の評価: 選んだ先行研究の重要性とその限界を評価し、研究テーマに対する貢献度を批判的に検討します。
  • 研究ギャップの明確化: どの研究が重要で、どの点で不足があり、そのギャップを自分の研究でどのように埋めるかを具体的に示します。

研究のギャップ特定

  • 未解決または不足している部分の特定: 現在の研究領域における未解決問題や不足している情報を明らかにし、それらがなぜ学術的に重要なのかを説明します。
  • 具体的な問題点の明確化: 自分の研究が解決しようとしている具体的な問題を特定し、その学術的重要性を強調します。

研究の位置づけ

  • 既存の知識や理論への貢献: 自分の研究が先行研究にどのように基づき、それらの知識や理論をどのように拡張、深化させるかを説明します。
  • 研究と先行研究との関係の明確化: 自分の研究が既存の研究成果とどのように関連し、それらにどのように貢献するのかを明確にします。

結論

結論では、研究の成果をまとめ、その意義や限界を論じます。また、将来の研究に向けた提案も行います。

  • 研究結果のまとめ: 主な結果を簡潔に再度説明します。
  • 研究の意義: 研究結果が何を示しているのか、その重要性や影響を評価します。
  • 限界点の認識: 研究の限界を認め、その範囲内での結果の解釈を行います。
  • 将来の研究に向けて: 研究から生じた新たな疑問や、今後の研究で探求すべき方向性を示します。

文系の卒業論文の書き方

では、みんな気になる具体的にいかに最速で卒論を書くかということです。以下の4ステップで書きましょう。

  1. 疑問に思う事や興味のある事を書く(問題の所在、問題提起)
  2. 扱うテーマに関する論文を読む(先行研究)
  3. 実際に何か調査して考える(調査の分析と考察)
  4. 執筆に使った本のリスト作成(参考文献)

順番に解説します。

①疑問に思う事や興味のある事を書く

テーマが決まった日にやれることは、まず、序章を書きましょう。序章でこの論文でどういったことをやるのか、興味があることを書きましょう。ここは最後に訂正することになるので、とりあえず書いて思考を整理してアイディアを出すべきです。

具体的には、今世の中はどうなっているという事を述べます。それで、起こっている事柄は実は検討すべきなのではないかと問題提起します。

たとえば、先ほどの1964年の日中外交を取り上げるならば、「日中関係は良好だ。その礎は1964年にある。だから1964年に起こったことを調査すべき」といったような書き出しが可能です。

②扱うテーマに関する論文を読む

続いて序章を書いたら、自分が書きたいテーマですでにどんな研究があるのかチェックします。大抵のテーマでは、すでに研究が進められていることが一般的です。CinniGoogle Scholarを使って論文を検索しましょう。

Google Scholar では、さまざまな学術文献を簡単に検索できます。多岐にわたる分野と出典の論説、論文、書籍、要…

論文を見つけたら簡単な要約を自分の論文に書いてまとめます。同じような論文を集めて、これを何回か繰り返します。

たとえば、A,B,Cという論文が見つかったとすれば、「Aは〜と言っている、しかしその点についてBはこうだと反論するが、一方でCはどちらも間違っているという」というようにつないでいって、文章にします。

そうすると、どこかで先行研究でやられていないところや、触れられていないところがあるはずです。その分野の研究をするのが卒業論文です。

たとえば、「先行研究で寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなるということが書いてあった。しかし、具体的にはどれくらい飲むと眠れなくなるのかまでは述べられていない。この点について検証する」という感じです。

世界を変えるような論文は書かなくていいので、ちょっとした視点を変えたことや、論文の穴を埋めてあげれば卒業論文としては十分です。

③実際に何か調査して考える

そして、その問題の発見が問題提起になるので実際に調査を行いましょう。

卒業論文だと、多くの人がアンケート調査を行っています。1番実行しやすいですからね。そのため、アンケートで調査できるような調査内容にすると、卒業論文が制作しやすいです。

そして、調査が終わったらまとめです。グラフや表でまとめて論文を発展させましょう。ちなみに、調査の結果で分かったことを自分なりの言葉の考察でしっかりと書くと教授からの評価も大きいです。

調査をして満足する人もいますが、この辺りを膨らませるとよい点数をつけられます。

④執筆に使った本のリスト作成

そして、最後に今まで参考にした論文や書籍などを一覧として貼りましょう。ちなみ参考文献の書き方にはAPA、MLAなどいくつかあります。どちらでも自分が書きやすいもので書くべきですが、混同は避けましょう。

意味がわからない人は、論文の書き方なのでしっかり覚えてください。ここまで来たら後は表紙や要旨を加えれば完成です。

提出は余裕を持ってしましょう。そして、教授や調査に関わってくれた人への感謝を謝辞として最後のページに書きます。謝辞というページですね。

参考までに、論文を引用した時の参考文献の書き方です。

APA:作者名. (出版年). 論文記事タイトル. 論文タイトル, 巻数, 号数, ページナンパー.
MLA:作者名. “論文記事タイトル.” 論文タイトル 巻数, 号数 (出版年): ページナンバー.

文字数や何ページ書けばいいの?

よくある質問です。最低限1万文字は欲しいところですので、2万字を目安に書くとよいでしょう。ページ数も最低10ページで20ページ目安でやっていれば分量で落とされません。でも、先行研究などを書いていけば、それくらい行きます。

ちなみに所属している大学の図書館で、卒業論文サンプルや過去の卒論を見ることができます。こちらもぜひ、活用しましょう。

文系の卒業論文を書く時の注意点

以下、論文の5ヶ条です。

  1. 「です」「ます」は使わない
  2. バックアップは確実に
  3. 計画をしっかり立てること
  4. コピペはNG
  5. 何度も読み直す

こちらも順番に解説します。

①「です」「ます」は使わない

レポートと同じですが、「〜ました」「です」というような文は使わないようにしましょう。必ず、「である」「だ」を使います。また、「〜と思う」という言い回しもNGです。なぜならば、それは自分の考えであって、事実でないからです。もし、自分の考えを述べたいと時は、「〜と考えられる」「ではないだろうか」とまとめましょう。

②バックアップは確実に

レポートでも経験があるかもしれませんが、なぜか論文はデータがよく消えます。書き上げる直前で全てデータがなくなって、卒業できなかったということも実際にある話です。クラウドを使いながらデータをバックアップしましょう。「Googleドキュメント」がおすすめです。

③計画をしっかり立てること

「計画」は重要です。授業のレポートなら先生の温情で何とかなりますが、卒論は無理です。学事で提出の日程が厳格に決まっているので、交渉は無理です、前もって仕上げておきましょう。できれば、締め切りの数日前に提出するべきです。

④コピペはNG

コピペは絶対やってはいけません。コピペをしていないかチェックするソフトがあるので、すぐにバレます。学位剥奪になったら4年間の学費もムダになるので、論文だけはしっかり書きましょう。

ちなみに、何かを引用する時は必ず出典(ソース)を明記しなければ、コピペしなくても、剽窃になる場合もあります。

⑤何度も読み直す

できた論文は何回も見直すべきです。誤字や脱字があれば、審査で不合格になります。20回以上読み直して、何かおかしい表現はないか、分かりにくい部分はないかしっかりと見直すべきです。



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まとめ

今回は文系卒業論文の書き方についてご紹介しました。テーマがぼんやりと決まれば、すぐに論文の精査に取り掛かりましょう。そうすることで、これなら書けそうという自分の論文のアイディアも生まれます。本気で取り組めば1ヶ月で大丈夫です。

ぜひ、みなさんも参考にして素敵な学生生活を送ってください。

こうした本も不安な方は読んでみてください。

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