HSK6級は、中国語に関連する試験の事実上のゴールです。
しかし、その評価は人によって異なります。そこで今回は、HSK6級のレベルや勉強時間、対策方法などを総合的にご紹介します。
HSK6級のレベル
HSK6級は、HSK(漢語水平考試)の最高レベルで、中国語を母国語としない人にとって最も高度な中国語能力試験です。
HSK6級に合格することは、中国語をビジネスや学術研究で活用したい人や、中国語で高度なコミュニケーションを取れるようになりたい人にとってひとつの大きな目標です。
以下は、HSKの公式サイトから引用したレベルの表です。
HSK6級のレベルは常用語5000語を覚えて、「中国語の情報をスムーズに読んだり聞いたりすることができ、会話や文章により、自分の見解を流暢に表現することができる」程度です。
HSK5級が常用語2500語を覚えて、「中国語の新聞・雑誌を読んだり、中国語のテレビや映画を鑑賞することができ、中国語を用いて比較的整ったスピーチを行うことができる」ということなので、単純に考えてHSK5級の2倍中国語を扱えるレベルということになります。
これを時間に換算すると、HSK6級に合格するのに必要な勉強時間は350時間から450時間程度とされています。ちなみに大学の第二外国語の授業時間は、1コマ90分だと週2で180分(3時間)です。1年間で前期後期を合わせて30週あるとすると、1年間で90時間しかありません。2年で180時間です。
HSK5級の学習時間が大学の第二外国語の2年間分、180時間と考えると、遥かに難易度が高いことが分かります。ちなみに、HSK5級以上は合格判定がありません。180点以上を取れれば合格です。合格率は非公開です。
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以下に、それぞれの能力について詳しく説明します。
語彙力
HSK6級では、5,000語以上の常用単語を習得していることが求められます。
このレベルの語彙力があれば、一般的なニュース記事やビジネス文書の大部分を理解することができます。さらに、専門的な分野に関する語彙も必要となります。例えば、医療や法律、技術などの専門用語も理解し、使用できることが期待されます。
読解力
HSK6級では、新聞記事、雑誌記事、文学作品など、様々なジャンルの文章を理解することが求められます。
長文であっても、論理的に構成された文章を理解することができます。また、文章の内容を要約したり、筆者の意図を理解したりする能力も必要です。例えば、複雑な議論や抽象的な概念を含む文章も理解し、要約できるレベルが求められます。
聴解力
HSK6級の聴解力は、ニュース、映画、ドラマなど、様々な音声教材を理解できるレベルです。
早口で話された内容であっても、ある程度理解することができます。また、話者の意図や感情を理解する能力も求められます。例えば、異なるアクセントや方言で話される内容も理解し、適切に反応できることが必要です。
話力
HSK6級では、日常生活や仕事で必要な様々な場面で流暢に中国語を話すことが求められます。
自分の意見や考えを論理的に説明する能力も必要です。例えば、ビジネスミーティングや学術討論で自分の立場を明確にし、論理的に議論を展開することが期待されます。
書き力
HSK6級では、日常生活や仕事で必要な様々な文書を書く能力が求められます。
論理的に構成された文章を書くことができ、自分の意見や考えを明確に表現することが必要です。例えば、レポートやエッセイ、ビジネスレターなど、様々な形式の文書を正確かつ効果的に書けることが期待されます。
HSK6級の合格率
HSK6級の合格率は約30%と言われています。これは非常に難易度の高い試験であることを意味します。HSK6級に合格するためには、上記のすべての能力を高いレベルで習得する必要があります。したがって、十分な準備と継続的な学習が求められます。
HSK6級と就職
HSK6級は、中国語を母国語としない人にとって最も高度な中国語能力試験であり、就職活動においても大きな武器となります。
- HSK6級が有利となる職種
- HSK6級が評価される理由
- HSK6級の活かし方
HSK6級の合格は、就職活動で非常に有利に働きます。以下に、HSK6級がどのように役立つかを詳しく説明します。
HSK6級が有利となる職種
HSK6級の合格は、特定の職種で特に有利となります。以下のような職種では、中国語での高度なコミュニケーション能力が求められます。
中国語関連の仕事
通訳、翻訳、日中ビジネス、中国語教師など、中国語を直接使う職種で大きなメリットがあります。
これらの職種では、正確で流暢な中国語能力が求められるため、HSK6級の合格は強力なアピールポイントになります。
中国企業での勤務
日系企業の中国現地法人、中国企業の日本法人、中国現地企業などでの勤務にも有利です。
ビジネスの現場でスムーズにコミュニケーションを取ることができるため、採用担当者に強い印象を与えることができます。
グローバル企業
中国語を活かせる営業職、マーケティング職、コンサルタント職など、国際的な舞台で活躍できる職種でも評価されます。
多言語能力が求められる職場では、HSK6級の資格が大きなアドバンテージとなります。
研究職
中国に関する研究を行う大学や研究機関でも、HSK6級の合格は重要です。
研究資料の読解や中国語での論文執筆が求められるため、高度な中国語能力が不可欠です。
就職でHSK6級の活かすポイント
就職活動においてHSK6級を活かすためには、以下の点に注意することが重要です。
履歴書・職務経歴書に記載する
履歴書や職務経歴書には、HSK6級の合格を必ず記載しましょう。資格欄に明確に記載することで、採用担当者に強い印象を与えます。
面接でアピールする
面接では、HSK6級の合格をどのように仕事で活かせるかを具体的に説明しましょう。具体的なエピソードを交えて、自分の中国語能力がどのように役立つかを伝えることが重要です。
中国語での自己PR
面接では、中国語で自己PRを行うのも効果的です。実際に中国語を使ってコミュニケーションが取れることを示すことで、面接官に強い印象を与えることができます。
中国語関連の資格・経験をアピールする
中国語関連の資格や経験があれば、合わせてアピールしましょう。HSK6級の合格に加えて、他の資格や実務経験があれば、さらに評価が高まります。 HSK6級は、中国語学習者にとって大きな目標となる資格です。就職活動においても、HSK6級の合格は大きな武器となります。合格を目指して努力することは、自身の将来の可能性を広げることに繋がるでしょう。
HSK6級はすごいのか?
HSK6級がすごいと評価される理由は、主に以下の点にあります。
- 難易度が高い
合格率が約30%と非常に難関な試験であり、合格すれば高い中国語能力の証明となります。 - 幅広い能力が求められる
語彙力、読解力、聴解力、話力、書き力など、様々な能力をバランス良く習得する必要があります。 - 中国語学習の到達点となる
HSK6級はHSK試験の最高レベルであり、このレベルに合格できれば、中国語学習者として一定の目標を達成したと言えます。 - 将来の可能性が広がる
HSK6級の合格は、中国語を活かした仕事に就いたり、中国で留学したりする際に大きなアドバンテージとなります。
もちろん、HSK6級の合格が全ての人にとって必須というわけではありません。自分の目標や目的、学習時間などを考慮して、適切なレベルの中国語学習を目指すことが重要です。
合格者の本音の感想
ここからは合格者の感想を交えてHSK6級について取り上げます。
合格者の中には、「HSK6級を持っていても、日常会話が怪しい人もいる」という声があります。
これは、TOEICで高得点を取っても実際の会話が苦手な人と同様です。
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HSK6級の合格ラインは、英語で換算すると英検2級か準2級くらいだと感じる人もいます。
HSKは日本人にとって有利
全世界でHSKは実施されており、普段の生活で漢字を使わない欧米人も受けています。
日本人は普段から漢字を使うため、試験に有利です。このため、日本人はリーディングで高得点を取ることで合格しやすくなります。常用語5000語の中には日本語として使用しているものも多く、幼少期から漢字に触れている点も有利です。
HSK6級は挑戦する価値のある資格と言えるでしょう。合格を目指して頑張りましょう。
HSK6級合格に必要な勉強時間
HSK6級合格に必要な勉強時間は、個人の学習能力や基礎知識、学習方法などによって大きく異なりますが、一般的には毎日3時間以上、約10ヶ月の学習が必要と言われています。
しかし、これはあくまでも目安であり、以下のような場合は、もっと短期間で合格することも可能です。
個人の学習能力や基礎知識による違い
HSK6級合格に必要な勉強時間は、以下のような個人の特性によって異なります。
すでに中国語をある程度学習している場合
すでに中国語を学習している人は、基礎知識があるため、比較的短期間でHSK6級に合格することができます。
特に、中級レベル以上の語彙や文法を習得している場合、学習効率が向上します。
集中力が高く、効率的に学習できる場合
集中力が高く、効率的に学習できる人は、短期間で多くの内容を習得することができます。
計画的に学習を進めることで、学習時間を短縮することが可能です。
中国語学習に十分な時間を割ける場合
日常生活の中で中国語学習に十分な時間を割ける人は、短期間で合格を目指すことができます。
例えば、留学中の学生や、仕事の合間に集中して学習できる社会人などです。
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HSK6級の過去問の入手方法
HSK6級の過去問を入手するには、いくつかの方法があります。
- HSK公式サイトからダウンロード
- 書籍を購入する
- 中国語学習サイトを利用する
- 中国語教室に通う
HSK6級の過去問を入手する際には、以下の方法があります。自分に合った方法を見つけて、効果的に活用しましょう。
HSK公式サイトからダウンロード
HSK公式サイトでは、過去5回分の過去問を無料でダウンロードすることができます。公式サイトのダウンロードページにアクセスして、過去問を入手しましょう。
書籍を購入する
HSK6級の過去問集は、書店やオンラインショップで購入することができます。過去問だけでなく、解答や解説も掲載されているので、学習に役立ちます。。
中国語学習サイトを利用する
中国語学習サイトの中には、過去問を無料で公開しているところがあります。問題形式や傾向を知るのに役立ちます。以下のようなサイトがあります。
- HSK Online – 過去問や模擬試験を提供しています。
- Chinese Test – 無料で過去問を閲覧・ダウンロードできます。
中国語教室に通う
中国語教室では、過去問を使った模擬試験などを実施しているところがあります。実践的な対策をすることができるため、学習効果が高まります。近くの中国語教室を調べて、過去問対策の授業を受けるのも良いでしょう。
HSK6級の過去問を入手する際の注意点
過去問を利用する際には、以下の点に注意することが重要です。
試験形式や傾向の理解
過去問は、本番の試験形式や傾向を知るために役立ちますが、実際の試験問題とは異なる場合があります。最新の試験情報を把握しておくことも重要です。
時間制限を設けて解く
過去問を解く際には、時間制限を設けて解くことで、本番に近い状況で学習することができます。試験のタイムマネジメントを練習しましょう。
解答解説の確認
過去問を解き終わったら、必ず解答解説を確認し、間違えた問題の原因を分析しましょう。
理解が深まることで、次回の試験対策に役立ちます。 HSK6級の過去問は、学習に欠かせない教材です。自分に合った方法で入手し、効果的に活用しましょう。HSK6級合格に向けて、しっかりと準備を進めることが大切です。
HSK6級の対策と戦略
HSKの6級にはリスニング、リーディング、ライティングがあります。ここで戦略をどう立てるかです。180点以上で合格なので、ただ単に合格したいならばリスニング50/100点、リーディング80/100点、ライティング50/100点で行きましょう。
先ほど言ったように、日本人はリーディングができるのでここで稼ぎます。逆に言うと、ここを落とせば合格は遠ざかります。リーディングで稼いでリスニングとライティングが足を引っ張らない程度にすれば合格です。
分野別対策と勉強法
具体的にはHSK5級の勉強法と基本的に変わりません。イメージはその延長です。
リーディング対策
リーディングの勉強は特別必要ないです。過去問を何年分か回せば大丈夫でしょう。リーディングは漢字の雰囲気で大意が取れるので、内容に一致しそうな選択肢を選んでおけば間違い無いです。それで正解できてしまうほど簡単なので80点は取りましょう。
リスニング対策
しかし、鬼門はリスニングとライティングです。まず、リスニングはリーディングの簡単さとは比べものにならないくらい難しいです。漢字は見れば分かりますが、難解な漢字も聞いて分かる必要があります。
きちんと中国語の単語を発音まで覚えて、聞き取れるようにするべきです。合計で35分間あり途中の設問から長文が読み上げられますので、集中力も必要とします。キーワードとなる単語だけを聞き取って、回答の選択肢と近いものを類推する訓練をしましょう。
ライティング|作文対策
そして6級で1番戸惑うのがライティングです。5級と問題形式が全く違います。求められる力は要約力と作文力です。10分ほどで長めの文章を読みます。その内容を覚えて、残りの35分間でその要約を白紙に作文しなければなりません。10分後に問題となる長文は回収されるので、記憶力だけが頼りです。
各段落の最初の文章をつなぎ合わせて、読みながら頭の中で要約を作ります。
それを35分間の間に書き出すのみです。最初に回答用紙が渡された瞬間にメモをしましょう。図でもグラフでもいいので、隅に書きます。それを見ながら35分間作文するとやり易いです。回答回収時には必ず、そのメモを消しておくことです。
このライティングは、本来ならば類似の問題を解いて中国人に添削してもらうべきです。
しかし、ボク自身は何もやっていません。過去問の文章を読んでその模範解答を読みました。それで重要な箇所にチェックをつけて、どうしたらこの解答ができるのかというプロセスを考えました。その繰り返しを何年分かの過去問で行います。
ちなみに、ライティングは難しい単語を書かなくても簡単な表現で間違えなければ得点になります。できるかぎり、簡単な表現を使いましょう。
HSK6級のおすすめ参考書
さて、参考書ですが基本的にはボクは『HSK6級過去問』と『聴読中国語』の2冊しかメインで使っていません。
もし、中国語を1人で学んでいるならば、丁寧な解説がある『本気で学ぶ中級中国語』も参考になります。
HSK6級過去問
1番重要なのは過去問で、リスニングは聞き込んで耳を慣らして問題ごと覚えましょう。リーディングも一緒で数をこなしましょう。ライティングは回答をよく読んで、どうしてこの要約になるのかプロセスの見つけ方を身につけましょう。これをガンガン繰り返すことです。
単語帳:聴読中国語
並行して、単語力を上げましょう。HSK5級クラスからは、この聴読中国語がハイレベルです。一応これができれば、 HSK6級に合格できるボキャブラリーがつきます。飽きずに長く使える単語帳なので、おすすめです。
聴読中国語は、文章と単語リストが一体化した単語帳です。 中国語の単語を覚えるは同じ漢字なのに苦労しますよね。なんとかして楽にしたいところです。 それを解決するのが聴読中国語です。文章の中で単語を覚えられます。そこで今回は聴読中国語はどう[…]
また、HSK6級だけに特化した単語帳だと「合格奪取! 新HSK6級単語 トレーニングブック」がおすすめです。
文法やリーディング:本気で学ぶ中級中国語
これは独学中国語のバイブル的な存在です。他に文法など日本人が間違えやすいところをしっかりと解説してくれている参考書はこれ以上ないです。結構ボリュームがあって、内容がぎっしり詰まっているので1冊やれば文法は頭に入ります。
リスニング:合格奪取! 新HSK6級トレーニングブック〈リスニング問題編〉
HSK6級のリスニングは文章が長くて聞くだけでも大変ですが、その文章に耳を慣らすことができる参考書です。これもHSK6級に特化しているので、効果的に合格率を高めてくれます。
まとめ
HSK6級を超えてからがスタートラインと人々は言います。一応最上級にも関わらず簡単すぎるからです。つまり、6級に合格して初めて我々日本人は初級レベルを脱したという感覚です。このレベルになると話すのが楽しくなってきます。
ぜひ、この記事を参考にしてみてください。それではよき中国語ライフを!!