私は日本と海外を行き来しながら、海外ノマドワーカーとして多拠点生活を行っている華山です。
2025年、中央アジアの国・キルギスに1週間ほど滞在してきました。訪れたのは南部のオシュと首都ビシュケク。
ノマドワーカーの視点から、この国での滞在が現実的かどうかを正直にシェアします。
通信環境:期待しすぎは禁物
カフェや宿にWi-Fiはあるものの、速度や安定性は店舗によってバラつきがあります。キルギス側が通信環境の重要性をノマド向けに捉えていない印象です。
モバイル通信はさらに不安定でした。iPhoneにeSIMを入れて使用しましたが、4Gが機能する場所でも突然3Gになったり、通信が途切れたりすることが頻繁に。
GoogleマップやWeb検索など旅行レベルの使用なら問題ありませんが、ウェブミーティングなど常時接続が必要な仕事にはリスクがあると感じました。
物価:思ったほど安くない現実
キルギスの物価は安いと言われていますが、期待しすぎると拍子抜けするかもしれません。
レストランで食事をすると1食500円は超えてきます。私は1ソム2円で単純計算していましたが、250ソム(500円)程度のメニューは珍しくなく、300ソム以上も普通にあります。
ローカルな店でも100〜150ソム(200〜300円)はするため、東南アジアほどのインパクトはありません。
旅行なら気にならない金額も、長期滞在となるとじわじわと効いてきます。日本での生活とそこまで変わらない、というのが正直な感想です。
食事:バリエーションの少なさが課題
中央アジア料理が基本で、ラグマンやポロ(チャーハン)など、オイル系の料理が中心です。
ロシア系料理も加わりますが、全体的にバリエーションは少なめ。洋食や日本食もありますが、値段が跳ね上がります。
長期滞在すると食事に飽きるリスクがあります。サラダ屋やサラダメニューはあるものの、野菜不足になる可能性も。マーケットでフルーツを買えば補えますが、その手間を考慮する必要があります。
ワーク環境:まだまだこれから
正直に言うと、キルギスはノマドフレンドリーな都市ではありません。IT産業がそこまで盛んではないため、コワーキングスペースや作業者向けのカフェが少ないのが現状です。
電源の配置など細かい配慮も不足しており、ノマドワーカーの母数自体が少ないことが影響しているようです。デパート内のカフェなら安定していますが、作業場所が固定化されてしまうのが難点。
タイのように整った作業環境を期待すると、施設探しに時間を取られることになります。
言語:ロシア語が必須レベル
英語はほぼ通じません。レストランでも簡単な英語すら伝わらないことがほとんど。「英語話せますか?」と聞いても、ノーやニエットで会話が終わってしまう経験を何度もしました。
ロシア語が話せないと、日常生活でかなり苦労すると思います。外国人に対して特別手厚いもてなしをする雰囲気でもないため、言語面での準備は必須です。
支払い:現金社会
基本的に現金主義で、キルギスの通貨(紙幣)での支払いが主流です。カードが使えるのは、1食500円を超えるような高めのレストラン、ファストフード、ショッピングセンター内の店舗など限られた場所のみ。
カード払いができる店でも、手数料の関係か現金払いを促されることがあります。キャッシュレス派の方には向いていない環境かもしれません。
街の雰囲気:都市によって全く違う印象
ビシュケクとオシュでは、街の雰囲気が大きく異なります。ビシュケクは東京のように人との距離が遠く、他人は他人という感じ。一方、オシュでは外国人に興味を持ってくれる人が多く、街を歩いていて「ハロー」と声をかけられることもよくありました。
両都市とも中心部は綺麗に整備されていますが、郊外に行くと工事中の場所が多かったり、レストランや道路の衛生状態に差があったりします。
まとめ:ポテンシャルはあるが、今はハードルが高い
結論として、現時点では一般的なノマドワーカーには向いていないというのが正直な感想です。ただし、キルギスは隠れ親日国で、ビシュケクにはJICAが建てた日本語教育センターもあり、日本に好感を持つ人が多いのは大きな魅力です。
言語面や物価の問題、インフラの未整備など、一般的なノマドワーカーには少しハードルが高い部分があります。旅行として訪れる、あるいはキルギス文化を深く知りたい方にとっては、とても有意義な滞在になるでしょう。
キャッシュレス化などが進めば、数年後には状況が変わっているかもしれません。今後の変化に期待したいところです。